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BMW R100、80
クランクシャフトダイナミックバランス |
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測定器にてBMWR80のバランス取りを行いました。
作業は↑のような感じにて設置して、ベルト掛けにてクランクシャフトを回します。回転数は1200rpm前後で実際のエンジン内部で回ってるのと同様な回転数に上げて、クランクシャフトを回し、本来クランクシャフトに付いてるピストンとコンロットの代わりに「ダミーウェイト」を取り付けて測定を行います。
ダイナミックバランサーにて回して見る前に、エンジン形式に付いて考察します。
BMW Rシリーズは言わずと知れた、水平対向2気筒のエンジン形式で、クランクシャフトは、クランクピンの位置が180度、対向、位相になっています。
この水平対向エンジンの場合、理論上では振動の発生は二本のクランクピンが「対向運動」する事で、左右のピストンなどの往復運動から起きている一次慣性力からの振動が相互の働きで相殺されてるはずですが、唯一の欠点が「偶力」からの不釣合いで起きる振動が発生します。
この偶力とは、回転する剛体(クランクシャフト)に、円の中心よりずれた個所、数点で反対向きの力を掛けると、その剛体(クランクシャフト)は掛かった力の方向に回転運動をはじめます。その時の働きを「偶力」といいます。その回転させる力がエンジンの場合はトルクに成ります。
偶力の不釣合いとは、剛体(クランクシャフト)の中心を基点して、掛かる力の不釣合いにより、剛体(クランクシャフト)の両端が円錐状に動き、その動きにより振動が発生する事を指します。簡単な絵すると↓のような感じ。
この偶力の不釣合いで起こる円錐状な動きを取り除く為に、クランクシャフトの両端にバランスウエイトを取り付けますが、このバランスウエイトの質量と、偶力により掛かる重心点の質量との釣り合いを取って、ゼロに近づけなければ、偶力の不釣合いで起こる振動は消えません。
そのために、クランクシャフトのピン部分に、バランスウエイトの質量に釣り合う、ダミーウエイトを装着し、その状態でダイナミックバランサーにて測定して回転させ、その偶力の釣合いを計測します。
今まで円バランスの崩れを取り除く事のバランス取りを行ってましたが、より多面的な「偶力バランス」の釣り合いを取る事で、より振動の発生を抑えられ、クランクシャフトがスムーズに回り、その時に無駄な動きに使われ方をしてエンジンの働きを損ねたエネルギーが抑えられ、駆動(トルク)として動力部に伝わる、クランクシャフトのバランス取りが行える様になりました。
ダイナミックバランサーにより、クランクシャフトを実際に回転させ、負荷を掛けた状態での、アンバランスを計測できる事が最大の利点で、実際のエンジンの中に近い状態で、計測、校正が可能となり、より正確なバランス取りが行える様になります。
加工は従来のバランス取りと同様に行いますが、細かな数値(角度、重さ)が表示されるので、精度を保つためにより繊細な加工が必要となりました。
当店でのバランサー精度は、2Vフラットフインのクランクシャフトの質量が6キロ強有りますが、これの偶力バランスの校正で、一円玉一枚の1g以下の釣り合いに成る様、校正に勤めています。
↑のがバランサーでの計測結果。
画面左上の数値が回転数。この場合「1205rpm」での測定。
そして、丸い円座標が重さがある「角度」を示し、その脇の数値の上部が「角度」、下部が「重さ」を表示。この写真時はバランス取りを行った後の数値なので、全ての数値が1g以下にバランスのズレで抑えられてる様に加工を行った後のです。
あと、クランクバランスと合わせて、クランクシャフトに組み付けるフライホイールも別体でバランス取りを行えるように成りました。フライホイールの直径235mm、クラッチが210mmと外径が大きく、この部分にアンバランスが大きいとクランクシャフトのバランス取りを行っても、フライホイールのブレからの振動が発生します。当店ではフライホイールにクラッチの固定部品を取り付け、専用シャフトでバランスを取っています。
これに合わせて、クラッチ部品を取り付けのボルト一本一本を10mgの公差に修正、フライホイールにクラッチを取り付け、外周で200mg以内のアンバランスに仕上げております。
そして、バランス取りを行ったクランクシャフトを組み付け、早速試乗テストに言ってきましたので、次にそちらのレポートです。
またこちらでは、作業後にシャーシダイナモテストを行った時の様子をまとめてみましたのでご覧ください。
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