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KTM DUKE620 |
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個性的なスタイルのDUKE620へのエンジン作業の紹介です。
この車両はエンジンにバランサーが付き、より一般的な仕様と成ったようですが、それでもエンジンレスポンス、加速力はすごく、楽しいバイクなようです。
そのエンジンは”造けい美”を感じるような造りで、そこから発生されるトルク、パワーはもの凄く、このクラス随一の加速感を感じられるのですが、その分乗り味がかなりスパルタンに感じる面も強く、その辺りをより扱いやすく、でも絶対性能を落とさないと言う考えで手を加えていきます。
作業内容としては、エンジンの大本に当たるクランクシャフトバランス取りです。
このバランス取りの有効性はBMWのページやZRX1100のページなどでも説明してますが、無駄な動き、そしてブレを抑えることで振動の低減、レスポンス、性能の向上などができるなど、効果は絶大なんですが、シングルエンジンの場合ではエンジン構造がシンプルな分、各パーツに掛かる役割が大きく、多気筒エンジンに比べ作業方法にはより”緻密さ”が要求される作業になります。
具体的には、単気筒エンジンではクランクシャフトが円滑に回るように加工を行い、また、メーカー製造工程では取り切れていない一次慣性力のバランス取りも合わせて行わなければなりません。
これはクランクシャフトに付いているクランクウェイト部の質量と、ピストン、コンロットなどの往復運動してる部分の質量との「釣合い」の事をいい、多気筒車の場合ではクランクシャフト取り付け角度などにより、掛かる力の相殺が行われるなど釣合いが取り易いのですが、単気筒の場合一つのウェイトで抑えなくてならず、質量バランスと取るのは多気筒車にに比べ大変取り辛く、その為に不釣合いによる「振動」が発生し易くなってしまっています。
この症状は構造上、排気量が大きいほど発生してしまい、例えば「SR500」の場合、400よりも振動が多い事で確認出来る様に、一次慣性力が増すほどにバランスの崩れが出易い事が分かります。
また、「クランクバランサー」と言う、往復運動部とクランクウェイトとの不釣合いを、クランクシャフトに対して逆回転する物を取り付ける事で、その不釣合い力を相殺し振動を押さえる物がついてる車両も有りますが、そのバランスウェイトもまたズレている事も考えられ、このDUKE620の場合ではバランサーウェイトが400と620とが同じ部品が使われいて、でも当然ピストン、クランクシャフトなどは違っており、そのバランスを取ると言う面で考えると整合性に疑問が残ります。
そこで、これらを解消する為に構成パーツ個々の質量をそれぞれ測り、総合的にバランス取りを行うことで本来のエンジン性能を発揮させ、レスポンスの向上、低回転から高回転までスムーズに上昇するエンジンに仕上げます。
作業方法は、このBMWクランクバランス取りをより細かな作業を行う感じです。
次にヘット周りも手を加えます。
結構カーボンの付着が見られますので、それらを除去後、バルブガイドの入れ替えを行います。これは4サイクルエンジンでは基本的な作業と言え、これに合わせバルブシートのカット等も行い、より密閉性を良くし、圧縮漏れを防ぎます。
作業風景はこんな感じです。
締め付けボルト類はトルクレンチにてしっかちとトルク管理を行い、精度高く組み上げます。
これらを行い作業は終了です。作業後はシャーシダイナモにて軽い慣らしを行い、そして実走行にて各部の点検します。
そこでの感想は、「振動の低減」など使い易い車両を目指し作業を行いましたが、実際に乗ってみると、低速のトルクが増して乗りやすく、また、そこからの加速力も軽快と言うかすごい気持ち良い感じを受ける、期待以上の効果が得られ「これが本来の性能だったのか!!」っと驚くような感じに仕上がりました。
また、本来の目的の振動低減と言う面では、アイドリング時にメインスタンドを立てた状態ですと車両が動いてしまう程あった振動が、バランス取り後はその現象も無く、静止状態でアイドルし、軽くアクセルをひねってレーシングを行っても、動く事が無くなり、この事からも振動が低減している事を感じられました。 |
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